フルラッピングVS全塗装それぞれのメリット・デメリットとは

 

自動車の車体の色を変えたり、何らかの模様を描きたいといった場合には、以前は塗料を使って全塗装するのが一般的な方法でした。

 

しかし、全塗装の場合には費用も時間も掛かる上に、仕上がりが職人のセンスによって大きく左右されます。特に何か絵や模様を描く場合にはその傾向は顕著であり、誰にでも気軽に出来るというものではありません。このため、自動車に複雑な模様や絵を描くというのは、一般的にはハードルの高いものでした。

 

しかしながら、近年はフィルム加工や高品質の大型印刷機の登場によって、塗装ではなく、色や模様が付いたフィルムを車体に直接フルラッピングするという方法が登場しています。

 

◯全塗装のメリット/デメリット

まず、従来型の全塗装のメリットとしては、施工を手順通りに行った場合には耐久性に優れているという点です。また、使用される塗料にも自動車のボディに使われているウレタン樹脂が含まれており、仕上がりも新車と変わらないものになります。

 

ただし、全塗装する際には、事前に車体のすべての表面を綺麗にする必要があり、さらに下地処理を行わなければならないなど手間が非常に掛かるのがデメリットといえます。また、塗装を行う職人の技量が直に仕上がりや耐久性を左右することになり、必ずしも安定した品質で全塗装が行えるわけではないので注意が必要です。

 

一流の職人に依頼した場合には、仕上がりも良く耐久面でも優れるため、長期間にわたって使用したいといった場合には全塗装はスタンダードな方法といえるでしょう。

フルラッピングのメリット/デメリット

一方で、近年、全塗装の代わりとして台頭してきているのが特殊な樹脂フィルムを表面に貼り付けるラッピングです。

 

メリットとしては、樹脂フィルムを車体に貼り付けるだけなので全塗装と比べて下地処理を大幅に軽減することができるという点であり、また、不要になった場合には取り外しも可能といった点があります。さらに塗膜の上にフィルムを貼り付けるため、その塗膜を保護するといったメリットもあります。

 

フルカラー印刷で樹脂に模様を描くこともできるので、手作業で行う塗装とはことなり、しっかりとした絵図を描くこともできます。このため、バスや電車などでも宣伝広告のためのフルラッピングを行うことが増えてきていますし、個人でも行う人もいます。

 

しかし、フルラッピングのデメリットとしては耐久性が劣るという点で、特に印刷したものはその傾向が顕著です。これはフルラッピングに限らず看板などでも色が褪せるのと一緒で、紫外線などによって色素が抜けてしまうためです。

このため、フルラッピングでは2年程度、長くても5年程度で交換するのがベストな使用方法といえます。

 

◯まとめ

この様に自動車の車体の色を変えたり、模様を描く際には従来型の全塗装と近年台頭してきたフルラッピングといった手法があります。それぞれの方法で前述したようにメリットとデメリットがありますので、手間とコストがかかる半面その分耐久性が優れている点を重視するか、耐久性が劣るが手間とコストが手頃な点を重視するかで選ぶのが良いでしょう。

 

耐久性が劣るといっても交換の周期は2年から5年もあり、その間は全塗装と比較し、樹脂ファイルを車体に張り付けるだけのフルラッピングの方が多彩な絵図をボディに表現することが可能なので、自分のこだわりのオリジナルの模様などを描きたい時はフルラッピングの方がおすすめです。

 

また、車体にラッピングされている広告でもフルラッピングの手法が採用されていることが増えており、その仕上がり自体を目にしてもらえれば、クオリティにも満足して頂けるでしょう。

 

いずれにせよ、仕事かプライベートかなど状況により、自分にあった手法を選ぶことが肝心です。